その人にピアスホールを開けてもらうのを待っている、わけない

言葉、経験、形態に整頓できない「その人」について、曖昧にしない方がいいと思った

好かれているから好きになる

その人はわたしのことが大好きだ。自惚れ?自己暗示?違う。その人の口から(正確には文字からだが)はっきり聞いた。二回は最低聞いたことがある。軽いジョークでもノリでもなく、本気で、あなたは最高だ!と。

今までで一番衝撃を受けたその人の誉め言葉は、

見た目好き

だった。理解不能すぎて、え?の一言しか思い付かなかった。しかも説明も入ってきた。人に不快感を与えていないかという最低限のラインを越えることを目標にしているわたしは、自分の顔を好き認定されたことは他人事レベルで実感がわかなかった。でもしばらくすると沸々と嬉しさと自己肯定感が出てきた。小さかった頃みたいに、見た目に関して卑屈さ皆無で嬉しい気持ちをまた持つことがあるとは思っていなかった。

上の衝撃発言からはかなり経つが、最近もまた似たような発言をされた。今は衝撃というより、こしょばゆい発言として受け止めている。その人と同じ意見を持つほど能天気にはなれないが、その人は見た目は好みの問題だから、誰かの好みなら大勝利でしょと言っていたので、なるほどわたしはわたしの大勝利ではなくてもその人の大勝利にはなれたのか、と思った。その人はわたしを納得させたいから説明しただけなんだろうが、しっかり受け止めやすい地盤作りからしてくるあたり、無自覚褒め上手だ。

見た目の話に片寄ってしまったが、その人は言うまでもなく内面を褒めるのも上手い。好きを言葉にするのに躊躇いがない。良いものは褒められないほうが変、そういう考えなのだろう。

実際自分が周りと比べてとびぬけてクズ、なんてことが無いのはわかっている。ただ自分のこととなると欠点はすぐ目につく。生活の端々に出てくる。長所もわかっているつもりでも欠点が気になるのは、◯個を越えたらダメ、と無意識に欠点を絶対評価で判定しているからかもしれない。長所と欠点で長所のが多ければオッケー。そう相対評価していかなければ詰むに決まっている。詰んでいる絶対評価から抜け出せないから、自分自身を褒める対象に上手く含めることができない。だから外からの誉め言葉は貴重だ。特にスコア化できない分野に関しては。その人は褒める頻度と中身が多い上に説得力を持たせてくる。エキスパートすぎる。

その人が褒めて甘やかすから、その人が好きだ。